33:天山遯(てんざんとん)
周易64卦を順番に紹介しています。
天山遯
天の下に山
届かない
逃げる・隠れる
遯(とん)は、亨(とお)る。小は貞(てい)なるに利(よ)ろし。(『易経』経文より)
天の下にそびえる山。
しかし山はどんなに高くても天に届きません。
右往左往するだけならば一時退却。
用心深く物陰に逃げ隠れしている時です。
<解説>
天の下に山があるのが遯(とん)。天はどこまでも高く、山がいくら高くてもそれには届かない状態です。ですから、高望みはかないません。
大きいことをするには向いていませんが、小さなことならかないます。大事業に乗り出すようなときではないのです。ちょっとした計画を実行に移す程度なら、着実に進んでいくことができるでしょう。
人付き合いでは小者とは付き合わず、遠ざけておきましょう。
天山遯は「遯(のが)れて亨る」です。何事も「逃げるが勝ち」ということもありえます。しばらく隠れて様子見しましょう。
この卦は下から2つの爻が陰です。次第に陰の気が長じつつあり、陽の卦が衰退に向かいつつある卦です。月にあてれば旧暦の6月、新暦では7月になります。わたしたちは7月になればこれからが夏だと思うものですが、すでにそこには陰の気が萌し始めているわけですね。
<この卦が出たら・・・>
【全体】:陽の気が次第に衰退していく時期。逃れる。退いているとき。
【願い事】:小事は叶います。
【仕事・人間関係】:小者の勢いが強くなってきています。ここはいったん退いて、打って出る時期を待ちましょう。時期が来なければ動けません。
【戒め】:逃げるが勝ちです。
【お金】:いまはよくないようです。一攫千金を狙っても無駄。金銭に執着せず、孤高の人でいましょう。
【恋愛】:恋に逃げ腰、及び腰。本命の相手には逃げられてしまいそう。あるいはそれは手の届かない相手なのかもしれません。
【相性】:カップルは気持ちが通じにくいでしょう。どちらも頑ななところがあるようです。無理に二人の関係をどうこうしようとするのでなく、いまはしばらく時期を待ちましょう。
「この卦が出たら……」以下は筆者の解釈です。いろんな解釈の仕方があると思いますので、ご参考まで。
筆者は日本易道学校にて周易を学びました。