2020年12月20日(日)
水火既済
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63:水火既済(すいかきせい)


 易経64卦を順番に紹介しています。

   水火既済

  火の上に水
  既に整う
  完成・完了

 既済は、亨(とお)ること小なり。貞(ただ)しきに利(よ)ろし。初めは吉にして終わりは乱る。(『易経』経文より)


 炎上する火の上に水が流れ
 火は消えてしまった。
 すべてが終わって、物事が完成した状態。

<解説>

 外卦が水=坎、内卦が火=離です。火の上に水があれば、火は水に消されてしまいますね。

 火と水が交わって、ことは既に済んでしまったと告げています。火は消えた。もう済んでしまったことです。

 これは物事が完成した状態とみてもよいでしょう。終わったことなのだから、それで「よかった」といえるでしょう。終わりよければすべてよしというわけで、吉です。

 とはいえ、永遠にその状態にとどまり続けることはできません。終わってしまったことも、また時間がたつと少しずつ変化、不安定、安定が崩れ始めますから、「終わりは乱れる」ということになるわけですね。

※易の64卦は陰陽の符号が6本重なり合ってできています。水火既済の場合、初爻・3爻・5爻が陽、2爻・4爻・6爻が陰です。これは陰陽の符号がすべて正しい位置にあるということになります。ですから、事はすでに済み終わったことになります。しかし、その道は行き詰まりを表してもいるわけです。

<この卦が出たら・・・>

【全体運】 初めは吉。後半期になって運気が乱れる。

【願い事】 小さいことは叶います。

【仕事・人間関係】
物事はすべては収まるところに収まるでしょう。プロジェクトは完成し、一段落の時を迎えます。終わりよければすべてよしですが、しかし、永遠にその状態にとどまり続けることはできません。うまく整っていたかに見えたことも、時間が経つにつれ、少しずつ変化し、乱れが生じます。一息ついた後は、次のクールの始まりです。人間関係はこれで終わりにしてもいいかもしれません。

【戒め】物事が完成したら、さらなる発展を願うものですが、より発展させようとするよりも、むしろ衰退を警戒する必要があります。心機一転、行き詰まりを打破しましょう。

【金運】十分だと思っていても、さらに必要になるときがあります。いざというときの準備のために、少しずつでもいいから蓄えをしましょう。貯金を取り崩さなければならない事態が生じるかもしれません。そのためにも、ためておくことが必要。

【恋愛・出会い】終わった恋。あるいは実る恋。両方の意味があります。ただ、実った恋もハッピーなままでは終わらず、その先は一波乱あるかもしれません。

【カップル・相性】二人の仲は既成事実。結婚するか別れるか。中途半端な関係を続けることはできないでしょう。このさき「エバーアフター」ではないかもしれないけれど、互いの違いを理解し合い歩み寄りましょう。


 上は大水、下は大火事 なーんだ?

 64卦のうちの最後から二番目の卦です。ここで「既済」となっても、最後は乱れるというわけですから、事はそこでは終わらないということになりますね。「最後は乱れる」。何事においても、またその先があるというわけです。とくに易には陰陽の消長という考え方があり、すべては静止したままで終わらず、どこが頂点で、ピークで、どこが底で、ボトムでというところにとどまらないわけです。

 自然にも、とりわけ東洋には、四季があるように、巡りきて、歴史もまた繰り返すことがあり、人の生き方もそうかもしれない。生成し消滅し、消滅したように見えても、再び生成し…。そのメカニズム、道理を理解すれば。世の動きもつかみやすく、自分自身の人生の流れにもその運気を見極めていくことができるのかもしれません。

 それはさておき、昔の子供はこんななぞなぞに答えました。

 「上は大水、下は大火事、なーんだ?」

 答えは「お風呂」です。昔のお風呂は薪をくべて炊いてました。下から火でお湯をお湯をわかしていたわけですね。水火既済の象(しょう)は昔のお風呂のようです。

 うちの田舎のお風呂は給湯式で追い炊きができません。お風呂はやっぱり追い炊きができるのがいいですね。

  


「この卦が出たら……」以下は筆者の解釈です。いろんな解釈の仕方があると思いますので、ご参考まで。

筆者は日本易道学校にて周易を学びました。
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