2020年8月14日(金)
天風姤
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44:天風姤(てんぷうこう)

易経64卦を順番に紹介しています。

   天風姤

邂逅・出会い
強い女性

姤は女壮(さか)んなり。女をめとるに用いるなかれ。(『易経』経文より)

天の下に風が吹き、出会いの予感。
女が一人で五人の男を束ねます。
   
<解説>

すべてが陽爻(陽の符号)できた乾為天(けんいてん)は、『易経』の一番最初に置かれる卦です。そして、二番目に置かれるのが、すべて陰爻からなる坤為地(こんいち)でした。

天風姤は見てください、いちばん下が陰爻ですね。あとはすべて陽爻からなります。すべてが陽の符号でできた乾為天から、初めて陰の符号が出てきたわけです。これは出会いを表します。

※易はつねに下から上!です。

外卦が天(乾)で内卦が風(巽)ということで、天の下に風が吹いています。風が天下に吹き渡れば、その恩恵は万物にあまねく行き渡ります。「姤は、遇なり」で、これは出会いを表します。

そして、陰爻は女性、陽爻は男性を表します。5人の男を束ねて動かすような強い女性のイメージです!

家父長制に基づく男女観ですから、こういう女性は男にとってはなかなか手ごわい女性ということになります。

で、「そんな女を妻にするのはやめたほうがいい」というのが昔の人の考え方だったわけです。

しかし、強い女性に魅力を感じる男性もいることでしょう。

恋占いで、自分を占ってこの卦がでたとき。あなたが女性なら、カッコいいレディース。女性経営者。自分が活動の中心になり、人を束ねていくことができそうです。なかなか自分より強い男が見つからず、頼れる人がいなくて、一人でがんばっているのかもしれません。

でも、そんなあなたに魅力を感じている人もきっといるはず。

仕事に関して言えば、表に立ちたくない人は、裏方のような仕事でありながら、全体を統括するような立場にやりがいを感じます。皇后の姤を意味しているわけですから、背後で大きな力をもっているわけですね。

また、繰り返しになりますが、姤に「出会う」という意味もあります。何か新しい出会いがあります。

ただ、これまでが順調で好機に恵まれ、絶好調だったあなたは、初爻の陰に気を付ける必要があります。それは、足元の小さなひび割れを意味しているからです。何か問題が生じていないか。「蟻の一穴」も放置すれば足元から崩れていってしまいます。早めの対応をということになるわけです。



<この卦が出たら・・・>

【全体運】:運気に陰りがでてきています。これまで順調で好機に恵まれていた人はとくに気を付けましょう。

【願い事】:叶うでしょう。

【仕事・人間関係】:仕事はこれまでが順調で好機に恵まれ、絶好調だったとしても、気付かぬうちに何か問題が生じている場合があります。気を付けましょう。足元を固め、土台を補強してください。
女性の勢いが強いでしょう。有能な女性に従うのは吉。一陰五陽で、一人の女性が五人の男を束ねているイメージです。男性にとってはなかなか手ごわい強い女性が相手です。
あなたが女性なら、自分より強い男が見つからず、自分が統率力を発揮し、人を束ねていくことになりそうです。

【戒め】:一見物事がうまく言っているようでも、足元の小さなほころびに注意する必要があります。「蟻の一穴」も放置すれば土台から崩れていきます。早め、早めの対応を。

【金運】:元金割れの恐れ。保険や投資は気を付けて。預金は少しずつ取り崩してしまいそう。油断しない!

【恋愛・出会い】:新しい出会いがあります。チャンスを逃さないように。

【カップル・相性】:女性が主導権を握る関係。彼女は年上かも。女性は結婚して家庭に入る人生では物足りません。あなたが男性なら、彼女を家庭に縛り付けないほうがいいでしょう。

筆者が使用している筮竹(45cm)

筆者はユング心理学から、ユングが易に興味を持っていたことを知り、易占を中心に占いの勉強をしてみようと思いました。15年ぐらい前だったかと思います。そこで新大久保にある占いの伝統校日本易道学校でまなぶことにしました。

古くからの友人でピアノの先生をしている人がいるのですが、彼女のお母様が昔、占いの勉強をしようと思い立って、占いの古典的な本と筮竹・算木を買い、じっさいに習い始めたそうです。ところが、そのときの易の先生(男性)の授業での、ことあるごとの文言に、非常に男尊女卑的なものを感じ、お母様は「すごく腹が立って」学ぶのをやめてしまわれたそうです。

で、長い間、教科書と筮竹と算木はお母様のおうちの押し入れの奥にしまわれていました。

筆者が占いを習うことにしたという話を、友人がお母様にされたところ、お母様はだったら、これをつかってとおっしゃって、教科書と筮竹と算木を筆者にくださったのです。そのときはじめて、筆者はとてもすてきなピアノの先生をしている友人の、資産作りなどにはなかなかやりてのお母様が、昔占いを学ぼうとしていたというそのお話をうかがったのでした。

昔の易占本で、男性の易者さんが書かれた一般書には、じっさいいま読もうとすると、男性観女性観が古すぎて、参考にならないものがあります。というか、今の女性が読むと実際、不愉快。そこに登場する女性というのは、「バーやクラブ、スナックのママ」「人妻」「気娘」って感じでしたよ。

天風姤の女性は、いまの時代とても魅力的ですよ。

むしろ、男尊女卑的な男が衰退していきつつあることでしょう。


「この卦が出たら……」以下は筆者の解釈です。いろんな解釈の仕方があると思いますので、ご参考まで。

筆者は日本易道学校にて周易を学びました。
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