2020年9月27日(日)
雷火豊
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55:雷火豊(らいかほう)


易経64卦を順番に紹介しています。

   雷火豊
  雷と火
  豊富・豊年・豊作
  力強い

豊は、亨(とお)る。王これに仮(いた)る。憂うるなかれ、日中に宜(よろ)し。(『易経』経文より)
 
雷鳴が轟き、大地を揺るがす音とともに、
電光明るく輝き、周囲を照らし出します。
豊かに実り、大豊作です。

<解説>

外卦が雷、内卦が火です。雷鳴がとどろき、稲光がする光景を思い浮かべてみてください。動と明。大地を揺るがす音とともに、電光明るく輝き、周囲を照らし出します。

豊かに実った作物を高杯に盛って神様におささげするときです。なんと豊かで盛大なる勢いのときでしょうか。運勢は盛大の極みといえるでしょう。王たるものはまさに、このような極みに至るものです。

日は天高く昇り輝いているが、天高く昇った日はやがて傾き、月も満ちればやがて欠けるものです。天地の盈虚(えいきょ)=満ち欠けはその時に従って消長する(易の世界観)のです。しかし、このように勢いの盛大な時は、すべてが通じるので「憂うるなかれ」で、何ら心配する必要はありませんこの豊大の時を保持するよう心掛ければよいというわけです。

そこで、次のように解釈できます。

あなたの運勢は盛大の極みです。これまでやってきたことは、大きな成果が得られるでしょう。まさに王者たる者の勢いです。とはいえ、日は中天にまで昇ればやがて傾き、月も満ちれば欠けるもの。天地の運行とはこのようなものです。人の勢いもまた、時とともに盛衰するのがつね。大いに豊かなるときも、そのことを忘れないようにしたいもの。



<この卦が出たら・・・>

【全体運】:運気は盛大。盛大の極み。最高潮です。

【願い事】:叶います。

【仕事・人間関係】:段階を経て頂点まで達する勢い。予想以上のチャンスに恵まれているでしょう。目標達成できます。これまでやってきたことは、大きな成果が得られます。まさに「王これに仮(いた)る」で、王者たる者の勢いです。何も心配することはありません。

【戒め】:日は中天にまで昇ればやがて傾き、月も満ちれば欠けるもの。天地の運行とはこのようなものです。
頂点までいけば、下降するしかありません。人の勢いもまた、時とともに盛衰するのがつね。いたずらに憂うる必要はありませんが、大いに豊かなるときも、そのことを忘れず、勢いを保持するための勤勉な努力を怠らないようにしましょう。

【金運】:予想以上の利益が得られるでしょう。これまでの投資、仕事の成果、努力が実ります。

【恋愛・出会い】:わくわくドキドキの恋ができそう。愛が受け入れられて有頂天になるでしょう。

【カップル・相性】:最高のカップル。この関係を維持しましょう。ふたりで幸せになれます。この時期を仲良く過ごせれば、この先、どんな苦労や試練が待ち受けていたとしても、もともに乗り越えられるでしょう。





豊かさってなんでしょうね? 人生の豊かさ。

それは貪欲に求め、溜め込み、積み上げることではないような気がします。
手放し、与えることの豊かさもあるのではないでしょうか?

易とはまったく関係のない内容になってしまいますが、

筆者がいちばん好きなのは、ドイツの哲学者ニーチェがついて『ツアラトウストラ』のなかで贈り与えることについて語っている次の個所です。
「贈り与えようとすること、これをわたしは太陽から、このあふれる豊かさをもつものが沈んでゆくときに学び取ったのだ。沈みながら太陽は、その汲みつくせない豊かさから黄金を海へまき散らす。-
 -それによって最も貧しい漁師さえ黄金の櫂で漕ぐことになるのだ。わたしはかつてこのことを見、いつまでもながめ入って涙をおさえることができなかった。」(ニーチェ;ツアラトウストラ)



「この卦が出たら……」以下は筆者の解釈です。いろんな解釈の仕方があると思いますので、ご参考まで。

筆者は日本易道学校にて周易を学びました。
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