2020年11月7日(土)
風水渙
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59:風水渙(ふうすいかん)


 易経64卦を順番に紹介しています。

   風水渙

  散らす・分散する
  組み換える
  川に浮かぶ舟

渙は、亨(とお)る。王有廟(ゆうびょう)に仮(いた)る。大川を渉るに利(よ)ろし。貞(ただ)しきに利(よ)ろし。(『易経』経文より)

   風が川面の水を吹き散らしています。
   木の舟に乗って川を渡ります。
   
<解説>

 外卦が風(巽)、内卦が水(坎)ですね。木の桶で井戸の水を汲mでいるように見えます。水風井(すいふうせい)は外卦が水で内卦が風でした。それは井戸の水をくみ上げられない様子にもみえました。この卦はその逆になるわけです。

 風が水面を吹き散らす様子をイメージしてみてください。吹き散らされた水はまたもとの水面にもどります。同時に、水面を木の舟が進み渡っていく様子を思い浮かべてみてください。舟は舳で水面を散らしながら進んでいきます。このように、まさしく大きな川を渉るような行動に出ても大丈夫です。よい結果が得られるでしょう。正しくことを行えば成功します。井戸の水をくみ上げることができました。

※「王有廟(ゆうびょう)に仮(いた)る。」は、古代の王者が祭儀を執り行い、先祖の霊魂を集めまつることで、人心の離散を防ぐことを心がけたという意味です。王が宗廟(先祖の霊を祭る祭儀上)にあって、先祖の霊を集めまつっている様子を表しています。


<この卦が出たら・・・>

【全体運】:吉。木の船で川を渡っていくように事を行っていい。

 ※運気に動きがあります。これまで停滞期だった人は停滞期から抜け出し、前に進んでいけます。逆にこれまで恵まれていた人はよい運気が散らされ、運気の流れに陰りが生じます。心してかかりましょう。

【願い事】:叶います。 

【仕事・人間関係】:一度はばらばらになってまとまりのつかなかった仕事や人間関係を再び結集して、事を行ってゆけます。目的をもって、積極的に行動すれば成功します。とくに、あなたが人の上に立つ人なら、皆の心がばらばらにならないよう、うまくまとめましょう。

【戒め】:どんなときにも正しいやり方をしましょう。そうすればよい結果が得られます。

【金運】:散財します。金銭管理をきちんとしましょう。散らばった財産は一か所にまとめましょう。

【恋愛・出会い】:気が散って、一人にしぼれません。恋人関係を求めるより、しばらくはあの人、この人と友達付き合いを続けたほうがよさそうです。

【カップル・相性】:心変わりします。浮気心が置きそう。仲の良かった二人は気持ちがばらばらになり、すれ違いが生じます。うまくいっていなかった二人は、もう一度気持ちを確かめ合ってうまくいく可能性があります。
 いずれにせよ、きちんと向き合って気持を確かめ合いましょう。お互いの気持ちを確かめ、絆を深めることで二人の関係はよい方向に向かっていきます。




為政者(いせいしゃ)は国を治める政治家のこと。国家権力を握る人ですね。しかし、為政者の「為」という字は、「偽」にいています。これは偽善者の偽。偽善者(ぎぜんしゃ)とは善い行いをしているように見せかけながら、本当は自らの利益を追い求めている人、利己的な動機によって突き動かされています。

 易の世界観はつねに為政者に対しても、貞正、モラルを要請します。その行い、根本にある動機が、「正しければ吉」なのですね。この記事を書いているいま、米国大統領選のニュースで盛り上がっています。ほぼ勝敗は明らかになっていますが、まだまだ混乱がつづきそうです。いろいろ考えさせられます。



「この卦が出たら……」以下は筆者の解釈です。いろんな解釈の仕方があると思いますので、ご参考まで。

筆者は日本易道学校にて周易を学びました。
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